「ネコはどうしてわがままか」日高敏隆著 (新潮文庫)動物行動学の日本での第一人者である日高敏隆のエッセイ集。そして「人間はどこまで動物か」「春の数えかた」に続いて3冊目の日高さん。相変わらずおもしろい。東大を出て、京大の先生を経て、滋賀県立大の初代学長となったとってもすごい人。なのにとっても読みやすい。ネコ、カエル、イサザ、ウグイス、ミズスマシ、スズメ、ボウフラ、シダ、ゼンマイ...植物も昆虫もほ乳類も両生類も鳥類も魚類も、なんでも興味のあるものについて研究をして、その特徴・性格をわかりやすくひとつのお話しにまとめる手腕はなかなか真似できないなぁと思ったり。「難しいことをやさしく、やさしいことを深く、深いことを愉快に、愉快なことを真面目に」 作家井上ひさしの座右の銘として有名な言葉。そして、自分の座右の銘として勝手に拝借している好きな言葉。なかなか実践できないなぁと常々思っているのに、日高さんはあっさり実現できてるじゃないかとふと思う。○春ののどかなウグイスのさえずり一夫多妻のウグイスのオスはより多くのメスを手に入れるため自分のなわばりを必死にアピールする。必死になってホーホケキョ、ホーホケキョとさえずってなわばりを宣言する声を、人間はのどかな春と感じている。○夏はセミの季節である鳴くのはオスだけでメスは鳴かない。「人間と違ってセミのオスたちは幸いである。なぜなら彼らの妻たちはなにもしゃべらないからだ」とアリストテレスはいったという。○悪女のタガメ身体も大きく力も強いメスがオスを選ぶ。他人の卵を荒らし、必死に卵の世話をしていたオスを奪う。そして卵を産んだらオスに世話を押しつけ、また別のオスを見つけに行く。○タヌキは夫婦で子育てする珍しい動物オスはメスの出産に立ち会い、生まれた子をとりあげ、自分の腹で暖める。授乳以外、メスはしばしばエサをあさりに外出するが、オスはエサも食べず子を温め続ける。1ヶ月もするとオスはゲソゲソにやせてしまう。どこの世界も女性は強い。。
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